おとなの楽しい童話時間

幸せスイッチオンにするハッピー物語

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冬ごもり

冬ごもり2

秋の日の夕暮れ時、クマが一人、公園のベンチに座っていました。

公園の前の道を、友人のカモシカが通りがかりました。



「やあ、クマ、こんなところで、何をしているんだい」

「やあ、カモシカ、私、明日からしばらく冬ごもりするもんだから、
公園のベンチに座るのも今年はこれが最後なんだ」

「そうか、クマは、公園のベンチが好きだものね」

「そうなんだ」

「冬ごもりする岩穴は、どんな心地なの」

「うん、笹の葉も、木の皮も、枝も、今年はたっぷり敷き詰めたから、いい心地でこもれると思うよ」

「へぇ、いい心地かぁ、それなら、安心して、春までこもれるね」

「それが、そうでもなくて、今年はなんだか、気持ちがソワソワしてしまうんだ」

「どうして、気持ちがソワソワしてしまうの」


ベンチ2


クマは、公園の後ろの山を見上げて、ため息をつきました。

「うん、例えば、私が岩穴で、一回寝返りをしたときに、
カモシカは、真っ白なオコジョと友達になっているかもしれないでしょ」

「うん」

「それから、私が岩穴で、次に寝返りをしたときに、
カモシカは、綺麗なスイセンの花の香りをかいでいるかもしれないでしょ」

「うん」

「それから、私が岩穴で、次の次に寝返りをしたときに、
カモシカは、山の斜面で、初日の出をみているかもしれないでしょ」

「うん」

「私も、冬の間ただ眠ってばかりいないで、カモシカみたいに、
白いオコジョと友達になったり、スイセンの香りをかいだり、初日の出をみたりしたいんだ」

「なるほど、クマ、そんな事を考えていたんだね」

「うん、だから私、毎年ただ冬ごもりしてていいのかなって、、、そう考えるとソワソワしてしまうんだ」


枯葉2


冷たい風が吹いて、枯れ葉がベンチの下でクルクルとまわりました。

「ねえ、クマ、冬ごもり、やめるとどうなっちゃうの」

「まだやめたことないのだけれど、多分、寒くて、食べるものもないから、雪の中で、凍えて、動けなくなって」

「うん」

「私の春は、永遠にやってこない、ということになると思う」

「えっ、、、わたし、来年もクマと二人、桜の木の下で、美味しいビールが飲みたいな」

「私もだよ、だからそのためには、冬ごもりをしないといけない」

「クマ、君にはどうしても、冬ごもりが必要だね」

「でも、どうしても、ソワソワしちゃう」

「うん、冬の間に何もできなくて、クマがソワソワするのは、無理もないことと思うよ、でも、それはしようがないことさ」

「しようがないことか」


街灯2


日が暮れて、公園の外灯にあかりがつきました。

「うん、、、そうだ、クマ、冬ごもりしながら、春になったら何がしたいか、考えるっていうのはどうかな」

「春になったら、なにがしたいか、、、」

「うん、たとえば、ふきのとうを探したり、ウグイスの声を聴いたり、モンシロチョウをおいかけたり、、、」

「桜の木の下で、カモシカと春の歌を歌ったり、、、ああ、とっても楽しそうだ」

「冬ごもりの間、楽しみな事を考えたら考えただけ、来年の春はきっと、いつもの年よりもっともっと楽しくなる」

「カモシカ、君の言う通りかもしれない、私、春になるのがすごく楽しみになってきた。今年も冬ごもり、しっかりやることにする」

「うん、しっかりね、春が来たら、また会おう、クマ」

「うん、春が来たら、また会おう、カモシカ」



カモシカは、星空の下、帰っていきました。

クマはカモシカを見送ると、ベンチを立って、夜の公園をあとにしました。



クマが冬ごもりをはじめてしばらくすると、霜がおりて、川が凍り、本格的な冬がやってきました。

カモシカは、白いオコジョと友達になり、スイセンの香りをかぎ、初日の出を見ていました。

クマは、岩穴の中で、春に訪れてほしい、ステキな出会いや、幸せについて考えていました。
そして、何かあたたかいものにつつまれたような、たんぽぽ色の夢をみていました。





春、公園の桜の木の下に、カモシカと、オコジョが座っていました。

ビールを三本用意して、二人が楽しみに待っているのは、もちろん、、、


桜2


桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちて、

遠くから、クマの楽しそうな鼻歌が、聞こえてきました。


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