おとなの楽しい童話時間

幸せスイッチオンにするハッピー物語

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ブリキのブラウンさん

ブリキのブラウンさんup用2

ロボットのブラウンさんは、ブリキでできています。

四角い胴体に、丸い頭と、細長い手足がついています。

体には、青い塗装が施されています。

ブラウンさんは、山登り専用ロボットです。

高い山、低い山、険しい山、なだらかな山、、、

今までにいくつもの山を登りました。



ブラウンさんがまだ新品だった頃、

彼にとって山を登ることは簡単なことでした。

しかし長い時が経ち、中古となった今、

彼が山を登ることは難しくなりつつありました。


ブラウンさんの足のコピー2


今は岩を登ろうとしても、足が上がりません。

膝の関節がサビ付いて、思うように曲がらないのです。

見た目もみすぼらしくなりました。

たくさんの山を登る中でついた小さな傷から塗装が剥がれて、

中の鉄があちこちサビてしまったのです。



しかし、ブラウンさんは山登りをやめませんでした。

膝が動かなくなれば自分で関節に油を注し、

塗装の剥がれた所には、白いテープを貼って、

水が直接当たらないようにしました。

ブラウンさんの体のコピー2

よく晴れた日の朝、ブラウンさんは油の入った缶を肩からかけて、

『今日も無事頂上に着きますように・・・』

山の鳥居の前で手を合わせると、一歩一歩、山を登り始めました。

その山は、今までに経験したことのないほど、険しい山でした。

冷たい風が始終吹いていました。

植物はほとんど生えておらず、ごつごつとした大きな岩が次から次へと

ブラウンさんの前に立ちふさがりました。


山小屋2

午後になり、ポツポツと雨が降りだしました。

雨足はあっという間に強まりました。

ブラウンさんは、やむなく近くにあった山小屋へ逃げ込みました。

「すみません。雨が止むまで、ここで休ませてくれませんか」

「どうぞ、ゆっくりしていってください。

山を降るなら、雨が止んでからの方がいいでしょう」

山小屋のあるじが言いました。

山小屋は薄暗く、雨漏りがしていました。

ポタポタと落ちてきた雨粒が、剥がれた塗装の隙間から、

ブラウンさんの体にジワジワと染み込んでいきました。

もともと着いていたサビは、さらに大きく広がりました。

ギシギシとぎこちない音のする関節には油を注しましたが、

持っている分では足りそうにありませんでした。

油缶2

「すみません、油を少し、分けてもらえませんか、

頂上までまだ少し距離があるので」

「あんた、そんな体じゃ無理だよ。山を降りた方がいい」

「いえ、なんとか頂上まで登ろうと思います」

「しかし・・・」

「体がボロボロなのはよくわかっています、

でも私は、山が、山登りが好きなんです。」

「そうか・・・」



山小屋のあるじが、ブラウンさんの膝や肩に油を注しながら、

話し始めました。

「私はこの山小屋を守るために造られたロボットなんだ。

でも、今日を最後にここをたたもうと思っている。

壁にはあちこちヒビが入っているし、

天井は見ての通り雨漏りだらけだ」



あるじに、体の隅々まで油を注してもらうと、

ブラウンさんの体はとても具合よく動くようになりました。

「・・・ああ、雨が止んだみたいだな。

あんた、本当に頂上までいくのか?気をつけてな」

「ありがとうございます。いってきます」



山小屋のあるじは、一歩一歩、力強く、

山を登っていくブラウンさんの後姿を、

いつまでも見守っていました。

それから、ふと何かを思い立ったように、

小屋の中へ入っていきました。

山道2


雨は完全に止み、周りの霧が少しずつ晴れてゆきました。

ブラウンさんが顔を上げると、眼前に山の頂上が見えました。

『あともう少し』

体に力がみなぎりました。



あと一歩で頂上というところまで来た時です。

山の下の方から、カンカンカンという

木を打ちつけるような音が聞こえてきました。

ブラウンさんは今来た道を振り返り、はるか山の下を望みました、

すると、先ほどの山小屋のあるじが、

かなづちを片手に、屋根の修理をしていました。



『帰りにまた、足に油を注してもらおう・・・』

ブラウンさんは、あるじの鳴らすかなづちの音の調子に合わせて、

残りの道を、トントントンと、

元気よく、頂上まで登っていきました。


おわり
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